●創刊号(1996/11/25)――【4面】◆漢方医学『臨床のポイント(1)』
![]() ●患者と接する際の10カ条 (1)十分に時間をかける (2)患者の発言を否定しない (3)「腕組み」をしながら聞かない (4)堅苦しい顔つきをしない (5)徹底的に「聞き上手」になる (6)患者の病因を丁寧に説明する (7)意見を押しつけない (8)併用薬の有無を確認する (9)薬の総合情報を提供 (10)緊急連絡先を伝える |
|
漢方では、患者の全身の状態を正確に把握し、全身バランスの崩れている部分、つまり、病気の根本的な原因を見極め、治療にあたる。こうした「全人医療」「原因療法」を実践するためには、患者の身体と精神状態についてのすべてを、正確に把握することが、何よりも大切。 そこで、弊紙では、患者の病状を把握し、「証」を決め、漢方薬を処方する際のポイントや注意事項などについて、現場からの最先端情報をまとめて、ひとつの「理想的なあり方」を提案する。 (中村 斉) 患者から全情報を訊ねる際のポイント (1)十分に時間をかける 何といっても、時間がなければ、患者の話など聞けるはずがない。聖徳太子でも、たった3分間では、相手の全状態を把握することは不可能だろう。とにかく、可能な限り時間をかけて患者と接する。とくに初対面の場合は1時間〜2時間程度の時間をかけられるように、余裕を持つ。 (2)患者の発言を否定しない 患者の発言に対して、頭から「それは違います」とか「ダメですね」などと否定してしまうと、相手が心を閉ざしてしまい、信頼関係が結べなくなってしまう。どんなに間違ったことを患者が言ったとしても、まず、「そうですね」「その通りですね」「そうかもしれませんね」、と一度は肯定してから、「でも、こういう見方もあります」「もしかしたら〜の場合もあります」「〜のケースもありました」と、反対意見を切り出すことが、大切。 (3)「腕組み」をしながら聞かない 医師や薬剤師は、はじめから優位な立場にいる。患者は、「病気で弱っている」側にいるからだ。この関係のままでは、患者が自分の全情報を正確に語ることは、難しい。ましてや、話を聞く側が「腕組み」をしていては、打ち解けた信頼関係などつくれない。患者の立場に立ってみると、よくわかる。 (4)堅苦しい顔つきをしない 上記Bに同じ。とにかく、患者の側に立てば、何が「威圧的」なのか、想像がつくと思う。 (5)徹底的に「聞き上手」になる 正しい治療方針は、患者からの情報次第。患者の話を客観的に聞くことが、すべての始まり。 (6)患者の病因を丁寧に説明する 患者の心身の全状態を把握し、病気の原因がつかめたなら、それをわかりやすく丁寧に伝える。患者が理解できる「言葉」に翻訳することができれば、とても信頼が深まる。 (7)意見を押しつけない どんなに正しい意見でも、押しつけがましい言い方をされたら、素直に聞くことができなくなる。話し方次第で相手が納得するものなら、気持ちよく聞いてもらえたほうが、いい。 (8)併用薬の有無を確認する 「小柴胡湯」と「インターフェロン」の併用による相互作用で、間質性肺炎が発生した。併用薬の有無は、患者からすべてを聞き出すしか方法がない。 (9)薬の総合情報を提供 患者に処方する薬について、どんな薬で、何に効くものか、いつ、どれだけの量を、どんな飲み方で飲めばよいのか。副作用はあるのか。他の薬や食品との相互作用など、とにかく、あらゆる情報を提供する。文書を手渡すことができれば理想的なことは、いうまでもない。 (10)緊急連絡先を伝える 「薬を飲んで、不快な変化が現れたときにはすぐに連絡してください」と緊急連絡先を伝えておく。 |
