WELCOME TO The Kampo Igaku Shimbun  ●第2号(1996/12/25)――【1面】(1)
信頼回復は、「副作用情報」の把握から



line.gif 「医療不信」からの脱皮をはかるためには、患者が納得できる「安全・安心」情報を提供すること

 日本の医療の転換点となった1996年をあとに、1997年、医療新時代の元年を迎える。
 1997年は、厚生省・製薬企業団体・医師会・薬剤師会・病院・治療院・薬局などの医療関連機関をはじめ、医師・薬剤師・看護婦などの個人にいたるまで、心機一転、改めて現在の課題と真正面から取り組む年となりそうだ。
 「医療とは何のため誰のため」のものなのか? 自分や自分の身近な家族が安心してかかれる「医療」とは何か? 原点にたちかえることで、患者からの「信頼回復」がはかれるに違いない。
 「自分が患者だったら、いま何が知りたいか?」…この自問自答が、21世紀の医療新時代をつくりあげるだろう。
(中村 斉)


薬の「マイナス情報」は、患者にとっては「プラス情報」

 「副作用情報」というと、マイナスの情報と判断する人は多い。しかし自分がもし患者だったとしたら、はたして、マイナス情報といえるだろうか?
 患者は、何のために薬を飲むのか? それは、早く病気を治して元気になりたい、という「願い」があるからだ。だから、当然のことだが、治療効果のない薬など飲まない。そして、副作用が強く出過ぎる薬も飲まない。
 ここで、混乱のもととなることが、「副作用が出過ぎる」という点だ。なにをもって、「出過ぎる」と判断するものなのか?

 またまた患者の立場になって考えてみたい。――つまり、薬を飲むことによって、現在の病状よりも重く苦しくなる可能性が何%あるのか、また、その副作用は回復不能な死に至るものなのか、それはいつどんなときに出現するのか、まず基礎的な情報を知り、そのうえで、自分の都合などを念頭に置いて「飲むか飲まないか」を判断したい、のではないだろうか?
 大切なことは、その薬の効能効果と副作用のリスクを両方知らないと、患者は最終判断できない、ということ。
 そこで、もし医師や薬剤師が、その患者にわかりやすく、薬の「効能効果と副作用情報」を提供したならば、患者は、その医師や薬剤師のことを「自分にとってマイナスの情報を提供した」と思うだろうか? 答えは、Noである。患者は、そんな医師や薬剤師なら、「信頼できそうだ」と思うに違いない。薬のマイナス情報の提供は、実は、患者にとってのプラス情報なのである。

 では、その「副作用情報」をどうやって正確に把握し、患者にわかりやすく提供していけばよいのだろうか?
 まずは、(1)副作用情報の流れを知り、(2)情報収集手段を知り、(3)情報提供の工夫をする、ことが必要。 ただし、薬の副作用情報とひとくちにいっても、ピンからキリまである。ここでは、知らなければ「死に至る」「回復不能の状態に陥る」など、患者にとって危険の大きいものを見逃すことがないよう、最優先にすべきであろう。
 その危険度の高い代表例は、厚生省から発せられる「緊急安全性情報」と「副作用情報」。その流れは、だいたい次のようになる。
 患者→医療機関(相談機関)→厚生省→副作用被害判定調査会(中央薬事審議会・副作用被害判定部会)→「副作用情報」「緊急安全性情報」発表→各医療機関→患者。

 「緊急安全性情報」は、副作用情報のなかでも、とくに危険で緊急性を有しているものについて、随時緊急発表される。一方、「副作用情報」は、2カ月に一度、厚生省から定期的に発表されるもので、発表と同時にパソコン通信やインターネット、FAX送信などで速報されるほか、医師会・薬剤師会などの定期刊行物で掲載される。該当する製薬企業からももちろん配布され、すべての医療機関に何らかの形で届くといわれる。
 こうして全国各地の医療関係者すべてに「副作用情報」が行き渡り、正確に把握され、治療に反映されることが、何よりも大切。
 多忙を極める医療関係者が、あふれる情報の中で、本当に必要な「副作用情報」を把握するための具体的な方法論を、本紙では追求していきたい。(関連記事11面)
 


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