●第2号(1996/12/25)――【6面】◆漢方薬局最新事情
300年間変わらず営業し続ける実力





――8階――
製薬所
【90.2u】
製丸・打錠・分包機
――4〜7階――
テナント
――3階――
製薬所 試験室
【85u】
製品試験設備一式
――2階――
住居
――1階――
店舗
【90.2u】
生薬自動分包機
――地下1階――
倉庫
【104.2u】
生薬、製剤その他

電気街に老舗の漢方ビル


 電子産業の好景気にわき返る秋葉原・家電量販店街に、紀伊国屋本店ビルがある。先代土田社長の時代、73年に木造社屋を改築して建てたビルだ。
 厳密には多少移動しているようだが、初代紀伊国屋源四郎が薬問屋を始めた同じ場所で、300年間変わることなく営業を続けている。
 86年に増築して地下倉庫を備え、1階を店舗、3階8階を製薬所として使っている。
 製薬所には、試験設備、製丸機、打錠機、分包機を備え、各種製剤を自社製造。群馬製薬所ができるまではすべてここで製造していた。
 主な製造品目は、さわやか(爽快散)、牛王丸、腎気丸など16種のほか、各種漢方処方調剤。地下倉庫に約1000種の生薬を備蓄しており、様々な処方に対応。
 全国の顧客からの要請に対応するほか、一部卸販売も行っている。

line.gif 生薬1000種を常備


「ごほんといったら紀伊国屋」で知られる紀伊国屋漢薬局。
創業は天和2(1682)年というからすでに300年以上の歴史を持つ老舗中の老舗。
度重なる時代の荒波を泳ぎ切り、東京大空襲による社屋の消失、漢方医学にとっての栄枯盛衰を乗り切って現在に至る。
その苦難の歴史とは。
(太田 聡)



 エレクトロニクスシティ秋葉原の中でひときわレトロな雰囲気をかもしだす紀伊国屋本店が誕生したのは、今から300年以上もさかのぼる1682年。和歌山県出身の初代源四郎が、紀伊家三代綱教出府のおり、御用商人として共をして江戸に出、五代綱吉の時世に神田に居を構え「昌平堂紀伊国屋薬舗」を開いたのが始まり。 現代表取締役の田中禮子(レイコ)社長で数えて14代目。漢方薬一筋に歩んできた。

 伝統的な薬商が飛躍したのは先代、現社長の実父である13代土田茂雄氏の時代。戦後、戦災で焼けた本店を建て直すと、50年には株式会社紀伊国屋漢薬局に改組。漢方薬が徐々に見直され、扱いが増えてくると、群馬に製品の製造工場「群馬製薬所」を開設(72年)。73年には木造社屋を改築し、現在の8階建てのビルとなった。



 現在の紀伊国屋は、本店は薬剤師4人を含めて22人、群馬製薬所に17人と、意外なほど小所帯。
 一日の来局者数が100〜150人という割には忙しさはなく、整然としている。固定客の多くは都外の在住で、ほとんど電話と郵便による対応ということで納得。ここらへんは老舗ならではというところ。
 品揃えはさすがの1000種以上。よく使われる生薬だけでなく、先代からの方針でできるだけ豊富な生薬を常備している。家伝薬の「牛王丸」(ゴオウガン)をはじめ、漢方方剤、製剤など漢方薬が90%を占めるが、最近では一般薬やハーブなども徐々に扱いが増えている。
 今後の課題は保険調剤への取り組み。制度的な障害もあるが、今後是非進めていきたいという。


◆薬局データ

店名:紀伊国屋漢薬局
種別:薬局
設立:1950年4月(創業1682年)
代表:田中禮子氏
住所:東京都千代田区外神田1-2-14
薬剤師:4人
特徴:創業300年を誇る老舗。ファンの多い独自の伝承家伝薬を持ち、群馬製薬所による自社製造を手がける。

◆相談の多い症状ベスト5
1.皮膚病
2.婦人病
3.高血圧
4.前立腺肥大
5.慢性病

◆売れ筋商品
さわやか(爽快散)、牛王丸、腎気丸





小児五疳薬「牛王丸」

初代源四郎が開発した牛王(ゴオウ)を主成分とした独自の薬「回陽牛黄丸」がそのはじまり。以来伝承家伝薬として現在においても同社の人気のくすり。

成分○
ゴオウ、ジャコウ、ユウタン、ニンジン、羚羊角末、ジンコウ、金箔

効能・効果○
動悸、息切れ、気付け、小児五疳、夜泣き、引きつけ、下痢、消化不良、胃腸虚弱

価格○
490丸入り 3,600円
840丸入り 6,000円
1,800丸入り12,000円




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