WELCOME TO The Kampo Igaku Shimbun  ●第3号(1997/1/25)――【1面】(1)
厚生省「緊急FAX」で危機管理体制を確立



line.gif 緊急時の医療情報をいち速くFAX送信する画期的制度。医療機関なら無料で利用可能。即座に登録できる!

 厚生省が薬害防止と緊急危機管理に向けて、本格的に動き出した。
 去る1月9日、同省は薬害エイズのような健康被害の再発防止を目指し「健康危機管理基本指針」を策定。また省内の連絡調整にあたる「調整会議」を設置し、1月10日に第1回会合が開かれた。
 これに先立ち同省ではFAXによる「緊急医薬品情報」の伝達事業(=緊急ファックス)を平成7年度から開設。危険で緊急性を有する医薬品の副作用情報「緊急安全性情報」の全国一斉送信が始まっている。
 すでに医療機関約5万件が登録を完了。全国で20万件以上といわれる薬局・診療所・病院などは、続々と登録を申請することが予想される。
 医療改革元年といわれる今年1997年は、ついに、画期的な緊急医療連絡体制が構築されようとしている。
(中村 斉)


住所・医療機関名・電話番号・FAX番号を厚生省にFAXすれば登録完了


 厚生省が去る1月9日に発表した「健康危機管理基本指針」の第5節(4)には、次のように明記されている。
 ──第5節 健康危険情報の提供
 (4)健康危機管理担当部局(注1)は、医療機関等向けに診断・治療方法に関する情報基盤を整備するとともに、重要かつ緊急な健康危険情報、治療方法等の情報について、「緊急ファックス」を活用する等により、医療機関に対し迅速かつ直接に情報提供を行うものとする──

 つまり、今後、重要な健康危険情報や治療情報は、医療機関に対して直接、厚生省から情報提供する。その具体的な方法論として、「緊急ファックス」を活用するというのだ。

 しかも、今回の指針をより円滑に実現するために、省内の関連各部署(注1=健康政策局、保健医療局、保健医療局国立病院部、生活衛生局、生活衛生局水道環境部、薬務局)のすべてで調整をはかるための「調整会議」が設置された。これが機能的に動き始めたならば、縦割り行政の限界を脱皮できる画期的な試みとなると同時に、長年の懸案だった「緊急危機管理体制」が確立される。

 もし、いま日本中の全医療機関が、この「緊急ファックス」に登録を済ませたと仮定してみよう。

 ──1997年初夏。○月×日。「O-157」よりも強力な新大腸菌群が発生。中毒患者が続々と病院にかつぎ込まれ、日本中がパニックに陥った。厚生省では事件発生と同時に「健康危機管理調整会議」を緊急召集。インターネットやパソコン通信を通じて得た現場の正確な情報をもとに、「緊急通達」を作成。全国の薬局、診療所、病院、保健所、老人ホームなど医療関係機関に直接「緊急ファックス」した。「通達」には新大腸菌群による中毒の特徴と各症状別の対処法、禁忌事項、注意事項、予防法などが記され、全国各地で、同様の対応が可能となった。事件発生5日後、さらに強力な新種の「新大腸菌群」が確認された。だが、インターネットによる情報交換で、素早く的確な処置法を確立した。厚生省は即座に「調整会議」を開き、「緊急通達No.2」を作成。2時間後には「緊急ファックス」で全国に一斉通達した。全医療機関に直接ファックスされるので、最先端の情報が確実に届く。こうして、1996年の「O-157」での苦い教訓が生かされ、見事な危機管理体制が確立されていった──。

 これほどまでに素晴らしいアイデアが、今回は、まさに実現しかけているのだ。すでに平成7年度から「緊急ファックス」の試験運用がはじまり、登録も5万件の規模になっている。現在未登録の約15万件の医療機関も、医療不信がこれだけ叫ばれているので、登録方法さえわかれば、積極的に参加していこうという意識が高まっていくに違いない。

 厚生省「緊急ファックス」への登録は無料。難しい手続きもいらないので、日本の全医療機関が、たったいま、即座に、登録することができる。

 登録は、紙に「住所」「医療機関名」「電話番号」「FAX番号」を明記し「緊急ファックスへ登録希望」と添え書きして厚生省にFAX(03-3508-4364)するだけ。とくに指定の様式はない。

 わたしのおばあちゃんがよくいっていた。「善は急げ」…と。

 


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