●第4号(1997/1/25)――【10面】ハーブ&アロマテラピー『医療現場からの報告』
ハーブ・アロマテラピーによる治療

●泉医院院長
医学博士
衣川湍水氏

1927年8月30日生まれ
1953年に千葉大学医学部卒業。翌年都立大久保病院入局。
55年に一旦東京大学で学究生活に戻り、伝研5研に所属。58年真野美容学校講師に招かれる。60年千葉大学医学部講師、61年実践学院女子大学講師、65年千葉大学医学部助教授を歴任する。67年に退官し、泉医院を錦糸町に開業。現在に至る。
専門はガン。ハーブ、アロマテラピーに関しては、企業からハーブの実験を依頼されたのが始まり。以来興味を持ち、臨床応用、実験と治験を重ね、伝承の誤りを指摘するなど独自の理論を持つ。



line.gif ●ローズマリーの老化防止効果

 ローズマリーの精油や、抽出液に老化防止の効果があるという見方には私も賛成です。初老期の意欲減退や、健忘に効果があることは、私も実際に実験して確かめました。

 ただし、その作用のメカニズムについて、ローズマリーの抗酸化作用がもたらしている効用だとする従来の見方にはいささか疑問があります。というのも、ローズマリーはわりと即効性があるからです。抗酸化作用のある他の物質で同様の実験をした結果では、概して遅効性です。

 私はそれよりも、脳内物質の分泌に関係していると考えています。というのは、ローズマリーではない他のハーブでの実験ですが、ハーブ抽出液を服用させて3時間以内に、脳内物質の分泌量に有意な変化が見られました。

 脳内物質は、一日の生活リズムの中で、睡眠などの生理的状況に合わせて変化しますが、その生理的状況を無視して大きく増減することは通常ありません。

 精油やハーブの抽出液には、特定の物質を増やしたり、減らしたりするのではなく、正常値に戻そうとする恒常性があることは、他の実験でも分かってきています。そのことは脳内物質についても同様であるといえます。

 臨床的には脳神経細胞の壊死を抑制し、また記憶を司り痴呆の発症の原因とされる海馬及びそのCAI領域の細胞壊死を抑制することが、実験により確かめられています。

 これは、ローズマリーの抽出液についてですが、精油の香りについても、同様の効果が期待できます。 鼻粘膜は老化により変化が生じることは知られています。香り成分が、痴呆を引き起こす原因成分の鼻粘膜への沈着を妨げることが推定できます。

 香り成分に含まれるグリコーゲンはボケを防止する効果があることは他の実験により確かめられていますし、アミノ酸を補給することも、老化防止に通じると言って良いでしょう。

 使い方は、乾燥したローズマリーの葉を水に充分に浸して抽出したエキスを、ティースプーンに一杯盛り、白湯に混ぜて一日2〜3回服用します。

 精油の場合は、常に嗅いでいるのがいいでしょう。勉強や、徹夜仕事をするときに、眠気防止・集中力を高めるといって精油を使いますが、効き目ははっきり言って一般薬の方があります。香りによる集中力向上の効果は遅効性で、作業の5時間ほど前から使わないと効果はありません。しかし、薬品は生理的に異常な状態を作るので、面倒でも精油の方をお薦めします。




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