●第8号(1997/7/25)――【1面】(1)
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「血糖値が正常より高い場合のみに降下作用がある」ことが動物実験で判明。1997/5/24日本糖尿病学会で発表!!
初期の糖尿病に対して、漢方薬が有効であることは、以前から知られているが、1997/5/24の日本糖尿病学会で、注目すべき論文が発表された。 明治乳業が中心となって研究した動物実験で、生薬「冬虫夏草(とうちゅうかそう)」に糖尿病予防効果があることが新たに判明した。 現在2000万人いるといわれる「糖尿病予備軍」。 放っておくと、3人に1人が発病するともいわれる。 現在の抗糖尿病薬では、正常な血糖値も下げてしまうので、予防のために投与すると弊害があるが、生薬「冬虫夏草」を使えば、血糖値の高い場合のみに血糖値を下げる効果が現れ、血糖値が正常な場合は作用しないという。 (中村 斉) 解明が進む生薬の薬理作用 1997年5月24日の「第40回日本糖尿病学会年次学術集会」で発表された論文のタイトルは、「冬虫夏草培養菌糸体エキスの血糖降下作用について」。 この研究論文は、明治乳業(株)ヘルスサイエンス研究所が中心となり、日赤医療センター、日本体育大学、京都大院農・生体機構、東京医歯大教養部、福建省三明真菌研などの共同研究で実施しまとめられた。 同研究グループは、これまでに「冬虫夏草培養菌糸体エキス」について、ラット摘出器官を用いた薬理実験による、(1)血管拡張作用、(2)右心房における強心作用・器官拡張作用(心肺機能向上作用)、(3)陰茎海綿体収縮抑制作用(勃起促進作用)、(4)肝細胞のDNA合成・タンパク合成促進作用(肝臓機能向上作用)。また、マウス強制遊泳実験による、(5)運動能力向上作用、(6)ストレス性胃潰瘍の抑制作用。陸上長距離選手における試飲試験での、(7)心肺機能向上作用。マウス実験による、(8)抗ストレス作用、などといった薬理作用を明らかにし、学会等で発表。さらに1997年4月1日、日本農芸化学会大会では、(9)血糖降下作用、および、性行動抑制マウスを用いた実験による、(10)強壮作用、についてを発表している。 今回の論文発表は、(9)に次ぐ糖尿病関連の第2弾となるもので、とくに注目できるのは…… 『血糖値の正常な動物では血糖値に影響を与えず、糖尿病モデルのように正常より高い血糖値の場合のみに作用し、正常な値に近づける作用を持つ』……という点だ。 「従来の研究で冬虫夏草培養菌糸体エキスの血糖降下作用は解明されていましたが、今回、血糖値が正常な場合には降下作用がはたらかないことが動物実験で新たにわかりました。現在使われている抗糖尿病薬は、正常な血糖値まで下げてしまいますので境界型糖尿病の人には簡単には投与できませんでした。冬虫夏草培養菌糸体エキスの血糖降下作用に関する作用メカニズムについて、さらに研究を深めていきます」(明治乳業(株)ヘルスサイエンス研究所・竹友直生氏) 多数の文献によると、「冬虫夏草」は古くから中国で不老不死・強壮の妙薬といわれ、薬酒や薬膳料理などでも使われていた。漢方生薬としては、咳を止め、痰を除き、全体的な体力を補うので、肺結核や病後の体力低下、インポテンツなどで用いられている。 (★冬虫夏草=薬味は「甘」、薬性は「温」、帰経は「肺」「腎」、効能は「補肺腎」「止咳」「化痰」「強壮」) ただし、天然の冬虫夏草は値段が高く品質にもばらつきがあるのが欠点。このため、明治乳業では安定した活性を有する「冬虫夏草培養菌糸体エキス」の製造法を確立し、1995年12月から原料素材として供給開始。1996年6月からは、健康ドリンク「冬虫夏草」(30ml入り500円)を発売開始している。 さらに実験が進み、漢方生薬の薬理作用のメカニズムが解明されれば、現代西洋医学と自然に融合し、新しい糖尿病治療法として確立されるだろう。 もちろん、一番の糖尿病予防対策は、日頃の「バランスの良い食事」と「適度な運動」であることはいうまでもない。 |