●第9号(1997/8/25)――【1面】(1)
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「漢方治療が有効な症例」2100件を即座に検索閲覧できる『医師向け支援システム』と、生薬300種を常備した『調剤薬局』を開設。
セコム(東京・新宿)が漢方事業に本格参入した。 現在の病気のなかで、とくに漢方治療が有効な症例約2100件をデータベース化。漢方の知識が十分にない西洋医学の医師でも、病名をもとに検索ができ、適切な漢方処方が可能という「セコム漢方症例情報検索システム」を1997年6月から販売開始。 また、横浜市内に店舗面積約400uの生薬調剤薬局を開設。300種類の生薬を常備し、全国の患者から処方箋を受け付ける業務をスタートさせた。 高齢化社会の医療分野において「漢方的治療」がさらに注目されるキッカケとなりそうだ。 (中村 斉) 高齢者医療に「漢方」は不可欠 実際の事業は、今年1月に設立したセコムの全額出資子会社、セコム漢方システム(東京・新宿、荒川和男社長)がすべて行う。 同社の荒川社長は、北里研究所附属東洋医学総合研究所に15年間在籍。基礎研究部薬理学の室長を務め、昭和61年、黄連解毒湯の西洋医学的研究解明の研究成果により薬学博士号を取得した漢方の専門家。 「今後の高齢化社会における有意義な治療方法として、本物の漢方を味わってもらいたい。つまり、患者の病態にあわせて、生薬の組み合わせを考えて処方するのが本来の漢方です。現在の主流であるエキス製剤による病名漢方では、この点がどうしても不十分で、漢方の本当の能力が十分に発揮できないでいます」(荒川社長) 同社の開発した「セコム漢方症例情報検索システム(月々リース料12000円)」は、現代の病気治療のなかで、とくに漢方的治療が有効な症例のみに絞り込み、本場中国での中医学による症例を約400件、日本における漢方医学による症例を約1700件、合計2100件の症例をデータベース化。漢方医学の知識を十分に持たない医師でも、西洋医学的なキーワードから患者の病態にあわせた症例が検索でき、この検索結果に基づいて的確な漢方処方ができるという。情報のなかには薬の副作用や病気毎の治療指針が記載され、年に2回、最新の情報を加えてデータベースを更新、充実していく。 また漢方薬に関する電話相談窓口を設置。患者やこのシステムを利用する医師からの問い合わせや相談に対して、経験豊富な専門スタッフがフリーダイヤルの電話で対応する。 店舗面積約400uの生薬調剤薬局は、300種以上の生薬を常備。すべての生薬について、産地・採取年を明確にし、独自の生薬安全性基準を作成、検査に合格したロットのみを使う。日本漢方のみならず、中医学に対応できるよう専門薬剤師が中医学的修治(生薬成分の特性をより発揮させるための処理)を行うことができるので、ほとんどの漢方処方が可能という。 患者の希望にあわせて、服用1回分毎の煎じ液を分包するサービスも行っており、めんどうな「煎じ」の手間を患者が省くことができる。医師から処方箋を受け取った患者が、FAXや郵便で調剤を依頼すれば、この薬局で調剤した漢方薬が宅配便で届けられるというシステムだ。 ただし、本格的な処方を中心とするため、現在は、保険が適用できず、すべて自費負担となる。 この点について、セコム相談役の飯田亮氏(元セコム会長)は、日経産業新聞からのインタビューに対して次のようにコメントしている。 「国は漢方にも広く保険を適用すべきだ。漢方薬は一般に服用期間が長く、利用者の経済的負担は軽くない。医療における漢方の比重が高まれば、保険適用の流れができるのではないか」(元セコム会長・飯田亮氏) 緊急通報システムや在宅医療の分野で先進的な事業展開をするセコムは、高齢化社会における医療の充実のために、「漢方が不可欠」と判断した。 |