●第11号(1997/10/30)――【9面】◆1面からのつづき
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「レセプトの写しが患者の手元に渡る」… それだけで、医療費の過剰請求は激減する 老人医療費が突出している 大和総研のレセプト・データベース(会員のみ公開)によると、例えば今年6月分について、被保険者本人の医療保険給付額の一人当たりの平均額は、7,800円。このうち老人に限ってみると、一人当たりの平均額は、39,700円にものぼっている。実に全年齢層の平均額の5倍となっており、いかに老人医療費が突出しているかが、手に取るようにわかる。 現在、高齢者人口は全人口の15%に当たるが、すでに約1800の健保組合のうちの7割が赤字決算という状況だ。2020年には高齢者人口は25%を占めるといわれるだけに、いま、本気で「老人医療費」の削減につとめる必要があるのだが、こうして、最新のレセプト動向が把握できると、医療費の生々しい実態が目に見えてくる。と同時に、具体的な抑制策も見えてくる。 まず、老人医療費削減のための方法論として、次の3点があげられる。 ●(1)過剰(不必要)投薬を抑制 ●(2)過剰(不必要)検査の抑制 ●(3)不必要な病院通いの抑制 また、間接的ではあるが、 ●(4)老人の雇用拡大・社会参加拡大 を推進することで、健康が維持でき、病気予防に結びつく。 余談ではあるが、数年前のこと。某総合病院で記者が待合室で診療待ちをしていたときに、目の前の老人数人が会話していた。その内容を紹介する。 老人A「今日は○○さん、どうしたの」 老人B「○○さんは今日は具合が悪いから、ここにはこれないって言ってましたよ」 老人C「そりゃたいへんだ。気をつけなきゃ」 ……… この会話を聞いて、私(記者)は最初、全然おかしいとは思わなかった。ごく普通の会話に聞こえたからだ。 しかし、次の瞬間、私は恐ろしいことに気がついた。その会話が、病院内の待合室で、これから診察を受ける人同士で交わされている会話だということに…。 私は思った「この人たちは、具合が悪いときに病院に来られない? …じゃあ、いま来ている人は、具合が悪くないのだろうか?」と……。 私がそんな思いをめぐらせている間、この老人たちの会話は途絶えることがなかった。ただし、愚痴のような話が多く、印象に残っていない。 もちろん、すべての老人がこの人たちと同じとは思わない。ただ、「具合が悪くて病院に来られない老人こそ、医者に見てもらうべきで、いま目の前にいる老人たちは、公園に行くべきだ」…。そう思った自分は、おかしい人間なのだろうか。 普通の感覚が、医療費を抑制する 安田病院のような、とんでもない不正請求をする医療機関はごくわずかしか存在しないと信じたい。 また、たいした病気でもないのにビタミン剤欲しさに病院通いする人も、ごくわずかだと信じたい。 そんな「ごくわずかな人々の行為」がなくなれば、着実に国民医療費は減少するのだが、残念なことに、現在の社会システムでは、これらの非常識を見抜くだけのチェックシステムが機能していない。 例えば、クリーニング屋から「過剰請求」された場合、私たち市民は、請求明細書を突き合わせて文句を言う。そのまま黙って、無駄なお金を支払う人はいない。八百屋でも同じ。そば屋でも…。 医療機関の「過剰請求」を無くすために、最も単純で有効な抜本的対策は、レセプト(診療報酬明細書)の写しを、原則として患者本人に渡るようにする(病名告知できないなどの事情がある場合は家族に渡す)。患者は、医療機関にかかった際の領収書と突き合わせることができるので、過剰請求はすぐに判明する。発覚しやすくなれば、当然、不正請求そのものが減る。自主規制がはたらくからだ。 厚生省が毅然としてリーダーシップをとるだけで、すぐにでも実現できる、医療費抑制策である。 (文責:中村 斉) (★1面に関連記事) |