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●連載第1回−1997/7/25発行・第8号2面−
これから始める漢方医学 ルールさえ知っていれば難しくない |
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漢方を難しく考えることはない。「いきなり症状の分類法を学んだり、漢文の古典から入るのは、かけ算を習わずに数学の問題集を手にしたようなもの。基礎理論、基本ルールを知らなければ理解しづらいし、応用が利かないのも当然です」と古村和子氏。 例えば道交法では赤信号は止まれ、一方通行の出口から入ってはいけない、大型車進入禁止などの様々な規則があり、単に運転の仕方を知るだけでは道は走れない。 同様に、漢方にも様々な基本ルールがある。陰陽五行など一通りやったつもりでも臨床でとまどうのは、基本ルールの意味を知らず使いこなせていないから。 約三〇年間に渡り漢方医学を実践。漢方専門薬局「三健堂」の主宰として、豊富な臨床から得られた「効く漢方」を、独自の語り口で分かり易く説く古村先生の、漢方を知るためのコツ。今回から始まります。 学問として学ぶから難しい 身近な視点から考えよう ──────────── 漢方は、とっても素敵な方法論です。全てが“ナルホド”と納得できます。漢方本来の“自然現象から法則性を発見して理論体系を作ったり、体験の積み重ねにより治療法則を作り上げたりしたもの”という原点を忘れずに、そういう視点から学べば、とても分かり易く、身近なものです。考え方も“ナルホド”と納得できます。 よく、『漢方はむずかしい』と言われますが、そんなことはありません。理論として、学問として学ぶからむずかしいのです。 私達は幼い頃、いきなり漢字や方程式を教わりませんでした。小学生・中学生・高校生・大学生と徐々にむずかしい理論や文字・考え方を、体験したり実験したりしながら学んだはずです。それなのに漢方を学ぶときはどうでしたか。右も左も分からないのにいきなり傷寒論だ、素問だ、霊枢だ、中医弁証法だ、神農本草経だと、いきなり大学の卒論レベルの理論を読んでいませんか(現実は学んでいるのではなく眺めているのでは?)。 普通なら、公式を教わり、それをそっくり使えばよいという練習問題を解き、少しひねった応用問題を解き、徐々に難解な応用問題を解いて、力を身につけますね。 ところが臨床面はどうでしょう。医師・薬剤師の立場で見ると、漢方療法を求めてくる人は、「現代医学の治療でうまく治らないから漢方を!!」という人ばかりですから、こじれていたり、一人でたくさんの症状を訴えます。“証”をみたてたくても、種々雑多の訴えの中から、いきなり“証”という方程式はみつけられません。中学一年で一次方程式を知っただけで開成校、灘校やラ・サール校などの入試問題のような難問に直面するようなものです。まさに、初心者マークをつけた車で、都内の交通のはげしい所に放り出される感じです。 漢方医学を学ぶためのコツ ──────────── 私が漢方と出会った昭和40年頃は、漢方の日本語の本はあまり無く、教えてくれる人も、研究会もほとんど無く、学生漢方が盛んになり始めていました。 今、薬剤師・鍼灸師として臨床経験28年、漢方専門薬局・鍼灸治療室を併設して22年。漢方・鍼灸・漢方流の美容(エステ)・食生活指導・運動療法・心理療法と、6部門でトータルに取り組んでみて言えることは。 漢方はあらゆる症状を治す方法を持っている。 1.──────── “医の心”がまず大切。苦しんでいる人をなんとか楽にしてあげたい!!という熱意さえあれば、また、相手の苦痛を十分に聞いて、一緒に感じ、受けとめてあげようという優しさがあれば、“漢方を早く身につけて、もっともっと早く助けてあげよう”という意欲が湧き、努力・精進出来る。 2.──────── 虚実・陰陽・五行・気血水・ツボ(経絡)の5つの基礎理論を知れば、どんなときにも治療法を発見できる。(逆にこの5つを知らないと迷路に入る) 3.──────── 実践の積み重ねの漢方医療は、たくさん体験している人のコツ・エッセンスを教わり、身近な症状から学んで身につけるのが近道。 (『漢方医学』ではない。学問も必要だが、苦しむ人を救う医術・方法を学びとって、現場に行かしてこそ身につくもの。処方をアイウ----の順に安中散から学んだり、太陽病の桂枝湯から順に学ぶのは、学生ならともなく現場の人には不向き) 4.──────── 臨床経験をしながら専門書の関連ページを見て学ぶと身につく。 そんな思いで、初心者向けの漢方基礎理論をお伝えしてみます。但し、これはあくまで私の我流。おこがましく言うと、“古村和子流”です。気の遠くなるような難解な本の勉強については不十分な未熟者ですが、臨床面では目一杯頑張ってきたという自負心を持って、私の考え方・見方・方法を順次お伝えしていきたいと思います。 |