●第2号(1996/12/25)――【10面】ハーブ&アロマテラピー『アロマの研究』
ここまで分かってきたアロマテラピーの効果

●東邦大学名誉教授
医学博士
鳥居鎮夫氏

1948年名古屋大学医学部卒
1955年東邦大学医学部助授1972年同教授
1990年同名誉教授
★大脳生理学の権威として知られる



line.gif ●連載「2」

 前回お話ししたように、私はCNVを使った製油の香りによる心理効果の実験を試みました。
 CNVは、次に予想される事態を注意して待つ時などにでる特殊な脳波で、CNVが大きいほど脳波は緊張、または集中しており、従って興奮しているということがいえるわけです。
 これにより、精油をかいだときのCNVの大きさで、脳が興奮しているか、鎮静しているかの判断ができるという寸法です。
 実験は、無臭の時のCNVの大きさを100とし、いくつかの製油をかいだときのCNVの値が100より大きいか、小さいかを測定しました。
 この結果、ジャスミン、バジル、ペパーミント、ローズなどには興奮作用が認められ、ラベンダー、カモミール、レモン、サンダルウッドには鎮静作用が認められました。そして、この結果は経験的にいわれるそれぞれの精油の効果が間違いないものであることを裏付けました。
 香りが脳に何らかの影響を及ぼすことはわかりました。そこで次に、自律神経に及ぼす影響を探ってみることにしました。
 交感神経が活動するときに、皮膚電位活動が認められます。
 CNVの測定をしながらこの皮膚電位を測ることにしました。
 香りのない時は次第に気がゆるんで、皮膚電位はだんだん下がってきます。しかし、CNVの実験中であるため、無意識に気を取り直してもとの状態に戻ろうとします。つまり、実験中に電位があがったり下がったりを繰り返すわけです。
 ところがこのときにジャスミンを嗅ぎながらやると、電位は下がらずずっと高いまま。交感神経の活動が活発なまま継続するのです。そして再び無香にすると皮膚電位は下がり始めます。逆にカモミールを嗅がせた場合は、いったん下がった電位が戻ろうとせず、ずっと下がり続けます。
 交感神経の活動が低下しているのです。
 このように、鎮静と興奮の作用が身体の変化としてもはっきりと捉えられたわけです。
(つづく)




注記
1)CNV(随伴性陰性変動)
何かを注意して待つときなどに、前頭葉が盛んに動き、このとき出る特殊な脳波。注意して待つという心の動きに「随伴」して脳波が「マイナス」(陰性)に変動するので随伴性陰性変動

2)皮膚電位活動
汗腺の活動状態を示す。嘘発見器に使われるものと同じ理論で、感情が揺さぶられると交感神経が活発化し、皮膚電位が上昇する薬草を蒸留して採取される植物油。エッセンシャルオイルなどとも呼ばれる

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