WELCOME TO The Kampo Igaku Shimbun  ●第6号(1997/4/25)――【1面】(1)
マルチメディア活用で「患者中心型医療」へ



line.gif 「電子カルテ」で患者情報を一元化。「待ち時間の短縮」、「薬害防止」、「重複検査防止」、など患者のための医療を推進。

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 現代医学のなかで『漢方医学』の考え方を取り入れるべき点といえば、『患者中心型全体医療』の実践にほかならない。
 病気や臓器だけを治療するのではなく患者全体を心身共に把握し治療するという方法だ。
 理屈ではわかってはいても、これまでは、その具体的な実践方法を見出すことがむずかしかった。
 ところが、一見「漢方医学」とはまるっきり無縁とも思える「医療界のマルチメディア化」で、『患者中心型全体医療』が実現されようとしている。
 永年の課題であった漢方医学と現代医学の融合は、突然、意外なところから進んでいると言っても過言ではない。
 その現状を、今回詳しく報告する。
(中村 斉)


パソコン普及で医療が激変


 まずは、「論より証拠」。本紙10・11頁を参照してもらいたい。
 現在の世の中に実際に「実現」している『医療界の最先端マルチメディアシステム』のほぼすべてを、一同に集めてみた。
 なかには、「まさかここまでできるわけがない」と疑いたくなるような夢のようなシステムが、本当に現実化、もしくは実現しようとしているから驚きだ。
 これらの最先端医療システムで、具体的に何ができるのか? おおざっぱにまとめると、次の5点になる。

●(1)診療予約・検査予約・薬の処方・会計などをコンピュータ処理する
●(2)患者の医療情報を電子カルテ(10頁・注1参照)に集約して管理・活用する
●(3)患者情報を遠隔地の専門医療機関に伝送し診断・治療に反映する
●(4)患者の病態変化や検査データを24時間自動記録し看護計画や診療計画に反映する
●(5)患者の健康状況を遠隔地から24時間把握し緊急時に対応する

 (1)(2)が実現すると、患者の医療情報は一元化され、複数の医師・看護婦・薬剤師・カウンセラーなどで共有化される。患者の待ち時間が飛躍的に解消されると同時に、「重複検査」「薬の重複投与」「医療事故」などの予防が可能となる。
 (3)は、患者の検査データを最先端の医療機関で診断することが可能となり、医療レベルが飛躍的に向上する。医療過疎とよばれる地域医療に大いに役立つに違いない。
 (4)はまさに「未来の医療」が現実化した代表例で(米モトローラ社開発の「エムテックシステム2000」)、現在、大病院の集中治療室・手術室などで導入され、治療情報をデータベース化することで、有効な治療方法・技術をさらに発見できる医療情報システムとして注目を集めている。
 (5)は「在宅介護」支援の未来技術が現実化したもので、腕時計(型装置)をはめるだけで、3分おきに患者の脈拍データが遠隔地の医療機関に自動伝送され、患者の体調異常時は、医療関係者に緊急自動通報される。位置探索機能が内蔵され、患者の所在地を正確に確認できるという驚くべき技術だ。
 これらの最先端医療システムに共通しているのは、「患者のための患者にやさしい医療」を目指している点だ。何のため、誰のための「医療」なのかを、原点に立ち返って考え、医療の主役を「患者」としている。

 この考え方は、まさに、「漢方医学」の考え方と一致する。ひとりひとりの患者について、心身共に全体像を把握したうえで治療にあたる…という点は漢方的医療といっても過言ではないからだ。
 現代西洋医学の短所。そして、漢方医学の長所といわれた「患者中心型全体医療」が、はからずも、こうして、最先端マルチメディア医療システムの主眼として組み入れられている。
 …と、判断すること自体、遅れているのかもしれない。
 21世紀の主流となるこの医療システムには、「漢方医学」とか「西洋医学」とかいう分別など、なくなっているのではないか。…そこには、「患者中心の医学」のほかは、何もない。


 


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