●第6号(1997/4/25)――【14面】ハーブ&アロマテラピー『医療現場からの報告』
ハーブ・アロマテラピーによる治療

●泉医院院長
医学博士
衣川湍水氏

1927年8月30日生まれ
1953年に千葉大学医学部卒業。翌年都立大久保病院入局。
55年に一旦東京大学で学究生活に戻り、伝研5研に所属。58年真野美容学校講師に招かれる。60年千葉大学医学部講師、61年実践学院女子大学講師、65年千葉大学医学部助教授を歴任する。67年に退官し、泉医院を錦糸町に開業。現在に至る。
専門はガン。ハーブ、アロマテラピーに関しては、企業からハーブの実験を依頼されたのが始まり。以来興味を持ち、臨床応用、実験と治験を重ね、伝承の誤りを指摘するなど独自の理論を持つ。



line.gif ●「母の薬草」カモミール

 ドイツでは「母の薬草」中国では「母の菊」と言われるカモミールですが、女性特有の症状にたいする効果が科学的に裏付けられた客観的データはあまりありません。

 そこで、女性特有の愁訴に対するカモミールの効果を臨床実験により探ってみました。
 比較的若い女性2人(23歳、31歳)と、高齢女性2人(76歳、79歳)に対して、カモミールティを服用してもらい、ホルモンの推移を測定しました。すると、若い女性では、主要な女性ホルモンであるプロゲステロン、エストロゲンとも顕著に低下し、男性ホルモン成分のテストステロンにも顕著な低下が見られました。一方高齢女性では逆に、テストステロンが顕著な増加を示しました。
 その他のホルモンの変動を考え合わせると、カモミールには特定のホルモンを増やしたり減らしたりするのではなく、少ないものを補い、多すぎるものを抑えようとする恒常性があるのではないかと類推されます。他の精油でも恒常性と考えられる効果が発揮されており、期待してよいと思います。
 また、ホルモンバランスの崩れからくる各種不定愁訴によいとされるハーブは他にもありますが、私が臨床に使った結果ではカモミールが最も使えるようです。
 それでも効果のほどは緩やかで、ずっと使い続ける必要があります。ただし、更年期障害の治療に使われるホルモン剤の投与はいろいろ問題が多く、毎日続ける煩わしさを差し引いても、ハーブを使うことをお奨めします。
 使い方は、ドライハーブを小さじ一杯、熱湯で浸出させて服用します。味が良くないので、アルコールや紅茶に混ぜて飲むのがいいでしょう。基本的になにに混ぜても効果に妨げはありません。
 これを1日2回を限度に服用します。また、2〜3ヶ月をめどに一旦服用をやめ、2〜3ヶ月別のものを飲んで、また再開するというやり方で気長に続けるよう心がけてください。

 最後にもう一つ、高齢者の方の徘徊にカモミールを使ったところ顕著な効果がありました。行数の関係で詳しく書けませんが、高い鎮静効果があることが想定されます。私がこれまで試した中でも、最も高い鎮静効果があると言っていいでしょう。




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